クラス人数は少ない方がいい?
~地方・学年によって違う意識~
全国1万人の意識調査
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役:小田切俊夫)は、自主企画「少人数学級に関する意識調査」を実施しました。全国の16~79歳の男女1万802人を対象にしたインターネット調査で、適正と考えるクラス人数を尋ねたものです。
調査結果のポイント
- 小学校では「21人以上30人以下」、中学校・高等学校では「31人以上40人以下」を適正なクラス人数と考える人が多い
- 小学生と同居している人ほど、小学校は「21人以上30人以下」が適正なクラス人数と考える割合が高い
- 適正と考えるクラス人数には地域差があり、現状より多い人数を望む声もある
調査概要
調査方法 | インターネット調査 |
---|---|
調査地域 | 全国 |
調査対象者 | マイティモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人 |
サンプル構成 | 平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠 設計数:10,802サンプル |
調査期間 | 2020年7月31日(金)~8月3日(月) |
調査内容 | 適正と考えるクラス人数 |
調査実施機関 | 株式会社インテージリサーチ |
分析者 | 田守 綾 ソーシャル事業推進部 |
考察
学校を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響などを受け、様変わりしています。特に、少人数学級を巡っては、政府において議論が活発になっています。文部科学省は「少人数学級のきめ細やかな指導」によるメリットを挙げていますが、財務省からは「学級規模の学力への影響は限定的」との意見も出されており、議論がなされているところです。現状の学級編成の標準は、小学1年は35人、小学2年~中学3年は40人となっています。
そこで、本調査において、小学校・中学校・高等学校それぞれの適正と考えるクラス人数を聴取。小学校には「21人以上30人以下」を求める意見が多く、特に小学生と同居している人にその傾向が強く見られました。このことから、小学校には「少人数学級のきめ細やかな指導」を求める保護者が多いと考えられます。
また、適正と考えるクラス人数について、その学年の児童・生徒と同居している人の傾向を地域別に分析し、文部科学省の「令和元年度学校基本調査」(2019年12月25日公表)の結果と比較。小学校に対しては、東北地方で「21人以上30人以下」の回答が73.2%と特に多くなりました。さらに、東北地方と同じく、現状(学校基本調査の結果)で「20人以下」のクラス人数の割合が多い北海道・九州地方でも、「21人以上30人以下」が望まれていることが分かりました。中学校に対しては、地域に関わらず「21人以上30人以下」の回答が多く、現状と同程度、あるいは少ない学級規模が望まれています。
今回の調査結果から、現状と同程度「21人以上30人以下」のクラス人数を適正と考える人が多いものの、現状より多い人数を望む声も一定数あることが分かりました。クラス人数が少ないことで、児童・生徒一人ひとりの存在感が大きくなり、活躍の機会も増えることが想定されます。しかし、体育や音楽の授業での学習が難しい、運動会をはじめとする学校行事が活発になりにくい、保護者のPTA活動での負担が増えるなどのデメリットもあると考えられます。
コロナ禍において「密」を避けるためにも今後、少人数学級が推進されていくものと思われます。しかし、少人数学級によるメリットだけではなく、デメリットも考慮することで、児童・生徒がより学校生活を送りやすくなるのではないでしょうか。
調査結果の詳細
小学校の適正なクラス人数は「21人以上30人以下」が半数以上
適正と考えるクラス人数を学校区分別で聞いたところ、小学校に対しては半数以上が「21人以上30人以下」と回答しています。一方で、中学校、高等学校と生徒の年齢が上がるにつれて、より多い「31人以上40人以下」を適正と考える人の割合が高くなっていることも分かりました。
問 日本の学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。小学校、中学校、高等学校それぞれについてお答えください。
小学生と同居している人ほど「少人数学級」を望む傾向に
続いて、小学生との同居の有無によって、適正と考えるクラス人数が異なると仮定し、分析しました。
その結果、小学生と同居している人では、「21人以上30人以下」を適正なクラス人数と考える割合が62.1%。同居していない人に比べて8.6ポイント高くなっていました。
問 日本の小学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。
北海道・東北・九州地方で、現状より多い「21人以上」を望む声
次に、小学生と同居している人が考える「小学校の適正なクラス人数」を、地域別で分析しました。
すると、北海道では「31人以上40人以下」を適正と考える人が38.2%、東北地方では「21人以上30人以下」が73.2%と、それぞれほかの地域よりも高くなっていました。
さらに、文部科学省の「令和元年度学校基本調査」を踏まえて比較。同調査によると、現状ではクラス人数が「31人以上40人以下」の割合が多くなっています。しかし、いずれの地域でも「21人以上30人以下」を適正と考える割合が高くなっていることが分かりました。また、地域別に見ると、現状では「20人以下」が多い北海道・東北・九州地方で、「21人以上」が望まれていることが分かりました。
問 日本の小学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。
中学校の適正なクラス人数は、現状か「いまより少なく」
さらに、中学生と同居している人が考える「中学校の適正なクラス人数」を、地域別に分析しました。
その結果、北海道や近畿地方、関東地方では、「31人以上40人以下」を適正と考える割合が約半数に。一方、東北・中部地方などでは、それより少ない「21人以上30人以下」の割合が高くなっていました。
小学校と同様に「令和元年度学校基本調査」の結果と比較すると、どの地域でも現状どおり、あるいはやや少ない人数が望まれていることが分かりました。
このことから、現状の学級規模のメリットやデメリットを踏まえて、適正なクラス人数を考える人が多いと推察されます。
問 日本の中学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。
調査結果PDF
新着記事
-
株式会社インテージ運営の「知るギャラリー」に「オフライン調査のキホン②~ホームビジット編~」を掲載 株式会社インテージ運営の「知るギャラリー」に「オフライン調査のキホン②~ホームビジット編~」を掲載の結果を詳しく見る
-
株式会社インテージ運営の「知るギャラリー」に「オフライン調査のキホン①~多様な調査手法とデジタル技術活用」を掲載 株式会社インテージ運営の「知るギャラリー」に「オフライン調査のキホン①~多様な調査手法とデジタル技術活用」を掲載の結果を詳しく見る
-
株式会社インテージ運営の「知るギャラリー」に「みんなの「備え」のいまを知る~自然災害への備えと復興に関する調査①~」を掲載 株式会社インテージ運営の「知るギャラリー」に「みんなの「備え」のいまを知る~自然災害への備えと復興に関する調査①~」を掲載の結果を詳しく見る
官公庁・自治体の方03-5294-8325
モニター募集
モニター募集は、現在新型コロナウイルスの影響により募集を一時中断しております。