「子ども食堂」の認知度は8割で高止まり?
~コロナ禍で注目の「フードパントリー」、認知はこれから~
全国1万人の意識調査

 株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役:小田切俊夫)は、自主企画「子ども食堂に関する意識調査」を実施しました。全国の16~79歳の男女1万802人を対象にしたインターネット調査で、子ども食堂とフードパントリー、フードバンク、フードドライブの認知度を尋ねたものです。

調査結果のポイント

  • 「子ども食堂」の認知度は84.4%と、昨年度調査より約2ポイント増加
  • 「フードパントリー」の認知度は35.0%で、「名前も内容も知っている」割合はわずか1割
  • 50歳以上の女性と70歳以上の男性で「フードパントリー」の認知度が高い

調査委概要

調査方法インターネット調査
調査地域全国
調査対象者マイティモニター
全国16歳以上79歳までの男女個人
サンプル構成平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数:10,802サンプル
調査期間2020年7月31日(金)~8月3日(月)
調査内容子ども食堂・フードパントリー・フードバンク・フードドライブの認知度
調査実施機関株式会社インテージリサーチ
分析者田守 綾
ソーシャル事業推進部

考察

 「子ども食堂」は、子どもが一人で行ける無料または低額の食堂。NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の調査結果(※1)によると、2018年に2286カ所だった子ども食堂の数は2019年に3718カ所と大幅に増加しており、活動が全国で広がっていることが分かります。

 インテージリサーチは2018年3月、子ども食堂の認知について初めて調査(※2)。その後、2019年3月に「フードバンク」や「フードドライブ」の認知度を加えた調査(※3)を実施しました。今回、それらの調査結果と比較したところ、子ども食堂の認知度は84.4%と、昨年の調査より2.3ポイントの増加に。また、性年代別の認知度を見ると、20~40歳代男性において低いことが分かりました。新型コロナウイルスの感染拡大により、子ども食堂に関連するニュースは増えています。しかし、むすびえ理事長の湯浅誠氏は「この年代の男性はそのようなニュースに触れる機会が少ないため、どのように活動を知ってもらうかが課題」と指摘しています。

 また、コロナ禍により、子ども食堂の多くが休止を余儀なくされており、再開できない状況となっています。このような状況下で、「3密」を避けるために食材などの手渡し(以下、フードパントリー)やお弁当の配付に切り替えた団体も多いことが、むすびえの調査(※4)から明らかになっています。

 今回の調査において、「フードパントリー」の認知度は35.0%であり、呼称自体がまだ広がっていないことが明らかになりました。また、フードパントリーという呼称を用いず、「食材の手渡し」などと表現する場合が多く見られ、「実際の取り組みと呼称が結びついていない」可能性も考えられます。その中で、50歳以上の女性や70歳以上の男性は、地域に関わる機会が多く、そこへの目配りをしている年代と想定。そのため、地域で行われている活動として、フードパントリーへの認知が高くなっていると考えられます。

 今後について、湯浅氏は、「コロナ禍において、子ども食堂やフードパントリーは『いざというときに支えてくれる存在』と広く認知されてきている。加えて、活動には多世代交流の側面があることも周知していきたい」と述べています。そのため、呼称だけではなく、子ども食堂やフードパントリーのような活動内容の認知が、さらに幅広い年代に拡大していくことが期待されます。

※1 「こども食堂1年で1.6倍、過去を上回るペースで増え続け、3700箇所を超える」 https://musubie.org/news/993/
※2 「子ども食堂、知っている? 運営に関わってみたい?」 https://www.intage-research.co.jp/lab/report/20190227.html
※3 「子ども食堂、知っている人が8割に」 https://www.intage-research.co.jp/lab/report/20191011.html
※4 「こども食堂の現状&困りごとアンケート」 https://musubie.org/news/2601/

調査結果の詳細

「子ども食堂」の認知度は84.4%~前回調査より2.3ポイント増加

 子ども食堂について認知度を聴取したところ、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」と「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」の合計は、84.4%になりました。2018年3月の調査結果と比べて12.2ポイント、2019年3月と比べて2.3ポイントの増加となっています。

 また性年代別に見ると(※5)、20~40歳代の男性の認知が低くなっています。

 このことから、子ども食堂の認知は高止まりしており、特に認知度が低い20~40歳代男性へのアプローチを検討する必要があると考えられます。

 ※5 性年代別のデータは「資料編」P.6(https://www.intage-research.co.jp/lab/20201112.pdf)をご覧ください

問 あなたは、子ども食堂の取り組みを知っていますか。

子ども食堂_図表1vol2.jpg

知られていない「フードパントリー」、認知度は35.0%

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2020年は子ども食堂の実施が困難になったケースも多く、食事の提供に代わって、食材などを配布するフードパントリーの取り組みを始める団体も出てきました。

 そこで、フードパントリーの認知度を聴取したところ、7月末時点では、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」と「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」の合計は35.0%となっており、子ども食堂よりも低い水準にとどまっていることが分かりました。

問 あなたは、フードパントリーの取り組みを知っていますか。

子ども食堂_図表2vol3.jpg

地域と関わる機会が多い年代ほど、「フードパントリー」の認知度が高い

 フードパントリーの認知度を性年代別で見たところ、50歳以上の女性と70歳以上の男性で4割を超えていることが分かりました。

 これらの年代は、若年層に比べて地域に関わる機会が多いと考えられるため、それがフードパントリーの認知度の高さに現れているのかもしれません。子ども食堂だけではなく、フードパントリーを通じた地域とのつながりが増えることで、子どもたちと関わる機会も増え、これらの世代が地域を支える中心的な役割を担っていくことが期待されます。

問 あなたは、フードパントリーの取り組みを知っていますか。

子ども食堂_図表3vol2.jpg

「フードバンク」の認知度は約7割、「フードドライブ」は4割弱

 子ども食堂やフードパントリーと同様、食の支援の一つである「フードバンク」や「フードドライブ」についても認知度を調査。フードバンクは72.9%、フードドライブは37.9%となりました。

 特に、フードドライブの認知度は、子ども食堂やフードバンクの半分程度にとどまっています。フードパントリーを含めて、「フード〇〇〇」という似たような呼称であることによって差別化できず、認知度の低さにつながっている可能性も考えられます。そのため、呼称だけではなく取り組み内容を含めた、今後の普及啓発が必要と考えられます。


問 あなたは、フードバンクやフードドライブの取り組みを知っていますか。

子ども食堂_図表4.jpg



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