全国1万人の意識調査
老後の生活資金、「年金」より「労働」や「貯金」で!?
10~20歳代は特に「公的年金だけをあてにしない」傾向
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、自主企画調査「老後の生活資金に関する意識調査」を実施しました。
全国の16~79歳の男女1万1217人を対象にしたインターネット調査で、生活資金への意識を聞いたものです。
調査結果のポイント
- 自身が60歳代になった際に想定する生活資金源として、「働いて稼いでいる収入」と回答した人が47.5%。「公的年金」の47.0%に並びました。次いで「60歳までの間の貯金」の37.4%となっています。また、10~20歳代ではこの「貯金」が最も多い回答で、過半数となりました
- 老後に備えて行っている資産運用については、「興味はあるが行っているものはない」という回答が最多の33.7%。「興味がなく行っているものはない」の25.0%を合わせると、資産を運用していない人が約6割に上っています。具体的な投資内容では、「貯蓄性の個人年金保険」が18.3%で最も高くなりました
- 定年退職後の就労時に希望する時給額は、年齢が上がるにつれて低下する傾向があることがわかりました。70歳代では「1000円未満」の割合が18.2%と、他年代に比べて高くなっています
調査概要
調査方法 | インターネット調査 |
---|---|
調査地域 | 全国 |
調査対象者 | インテージ・ネットモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人 |
サンプル構成 | 平成27年国勢調査ベース (性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠 設計数:10,000サンプル |
調査期間 | 2018年3月23日(金)~2018年3月26日(月) |
調査内容 | 老後の生活資金の想定、老後に備えて行っている資産運用、定年退職後就労時の希望時給額 |
調査実施機関 | 株式会社インテージリサーチ |
分析者 | 櫻木 祐輔 (公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部) |
考察
平均寿命が延びたことにより、定年退職後の生活期間も格段に長くなっています(※1)。それに伴い、公的年金だけで退職後の生活費を賄うことは、難しくなるとみる向きもあります。さらに、急速に進む少子高齢化などを背景に、高齢者を取り巻く環境は今後、一層厳しくなることが見込まれます。
こうした背景がある中で、現在就労中の人は老後の生活資金について、いったいどのように考えているのでしょうか。
調査結果から、公的年金だけをあてにせず、働き続けることや貯金、資産運用など、複数の手段による生活資金の確保を想定していることがわかりました。この傾向は10~20歳代に顕著です。具体的な資産運用では、貯蓄性の個人年金保険や個人年金(iDeCoなど)を利用している人が多いことがわかりました。
一方で、3人に1人は「興味はあるが行っているものはない」と回答しており、資産運用や投資に関するわかりやすい情報発信・提供が求められます。
また、定年退職後の就労に関しては、回答者が60歳以上の場合、希望する時給額が低下する傾向がありました。60~70歳代の半数が、「1000円未満、または1300円未満の時給でも働き続けたい」と答えています。この回答からは、働き続けることへの積極的な姿勢もうかがえるため、今後、高齢者の就労継続を想定した制度や職場環境の整備を推進していく必要があると考えられます。
※1 「平成28年簡易生命表」(厚生労働省発行)によると、65歳の平均余命は男性が19.55年、女性が24.38年
調査結果の詳細
生活資金の想定、60歳代は「稼いでいる収入」、70歳代は「公的年金」
「60歳代の生活資金の想定」を聞いたところ、47.5%の人が「働いて稼いでいる収入」、47.0%の人が「公的年金」と回答しています。性年代別に見ると、「働いて稼いでいる収入」と答えた人は男性40歳代で64.9%、50歳代で66.7%に上りました。一方、実態を含む60歳以上の回答で「公的年金」は、男女共に7割前後と高くなっています。
「70歳代の生活資金の想定」では「公的年金」が全体の67.7%と最も高くなりました。さらに、「個人年金」の割合も増加しており、資金源の想定が労働から年金へと変化していることがわかります。しかし、回答者が39歳以下の場合は「公的年金」が4~5割台にとどまっており、特に10~20歳代で「年金だけをあてにしない」傾向が強いことが明らかになりました。
問 あなたご自身、60歳~70歳くらいまでの間の生活資金は何になると思いますか。
あてはまると思うものを全てお答えください。現在60歳以上の方は、どのような生活資金であるか/あったかの実態をお答えください。
老後に備えて行っている資産運用はない!? 運用していない人が約6割
「老後に備えて行っている資産運用や投資の内容」について16~59歳に聞いたところ、「興味はあるが行っているものはない」という回答が最多の33.7%。「興味がなく行っているものはない」の25.0%を合わせると、資産を運用していない人が約6割に上っています。
具体的な投資内容では、最も多い「貯蓄性の個人年金保険」が18.3%、次いで「個人年金(iDeCoなど)」が12.5%となりました。性年代別では、「副業に関する意識調査」(※2)の結果からもうかがえるとおり、いずれの選択肢も男性の割合が高い傾向が見られます。特に男性の30歳以上で、「株式投資」「企業年金」「個人年金(iDeCoなど)」の割合が高くなっています。
※2 弊社調べ。2018年6月18日発表(https://www.intage-research.co.jp/news/20180618.pdf)
問 あなたご自身が老後に備えて行っている資産運用や投資についてお答えください。(複数回答)
60歳以上の希望時給額の下限は1300円未満が過半数
現在就労中の人に「定年退職後に働き続ける場合の希望収入」を聞いたところ、「時給1000円以上」が35.1%と最も高くなりました。年代別に見ると、60歳以上の回答者で「時給1000円未満」と「時給1000円以上」が高くなっていることがわかります。
問 あなたは、定年退職後に就労を継続する場合、時給換算でいくら程度を希望しますか。
あなたの希望に最も近いものをお選びください。なお、物価等については現在の水準であると仮定してお答えください。
現在の勤務先の規模に比例して、定年退職後の希望時給額も高くなる傾向
「定年退職後に働き続ける場合の希望収入」を現在の勤務先の規模別で見たところ、規模が大きくなるにつれ、希望する時給額が高額になることがわかりました。「時給1000円未満」の回答が最も多かったのは、勤務先の規模が「1~30人未満」の14.2%。「時給1000円以上」も「30~100人未満」で39.0%と高くなっています。一方、「時給1900円以上」の回答が最も多かったのは、勤務先の規模が「1000人以上」の14.1%でした。
調査結果PDF
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