介護離職に関する自主企画調査-追加レポート-

株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、全国35歳以上59歳までの男女個人を対象に3月30・31日、介護離職に関する自主企画調査をインターネットで行いました。

調査結果のポイント

  • 35~59歳の被雇用者(会社員・公務員、正規・非正規含む)のうち、4割の人が介護保険制度を「理解している」が、一方「知らない」人も3割に上り、十分に普及しているとは言えない(図表1-1)
  • 現在、家族の介護を担っている人の『仕事と介護の両立』への意欲は、介護保険制度を「理解している」人では5割だが、「知らない」人では3割にとどまり、理解度が低いと両立への意欲も低くなっている(図表2-1)
  • 『仕事と介護の両立』を支援する会社の制度は、6割の人の会社などで「ない」との結果となり、制度の導入は遅れている(図表3-1)
  • 実際に家族の介護を担っている人でも、自社の『仕事と介護の両立』を支援する制度の利用状況は1割未満であり、制度はあっても利用に至っていない(図表4-1)
  • 自社の『仕事と介護の両立』を支援する制度があるにも関わらず利用できていない。制度をもっと利用したいと思っているが、利用するハードルが高いと考えられる(図表5-1)

調査概要

調査方法インターネット調査
調査地域全国
調査対象者インテージ・ネットモニター
全国35歳以上59歳までの男女個人
サンプル構成平成29年12月労働力調査に準ずる
(性別×年代別×業種別)
設計数20,000サンプル
調査期間2017年3月30日(木)~2017年3月31日(金)
調査内容仕事と介護の両立について 介護の実態 等
調査実施機関株式会社インテージリサーチ
分析者門永 宏介
(公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)

考察

 家族で介護が必要になった場合、従来は女性が大きな役割を果たしていました。しかし現在では、未婚化、晩婚化、核家族化、女性の社会進出などにより、介護の担い手は女性だけではなく、男性も担い手となる時代です。「4人に1人が仕事をしながら介護を担う時代」を迎え、介護は他人事と言えなくなっています。

 現在、介護をしていない方でも「介護保険制度」という言葉は聞いたことがあると思いますが、今回の調査では具体的な制度については知らない人も多数存在していることがわかる結果となりました。また「介護休業」は、直接介護をするための休業制度と考えられがちですが、実際は介護する家族1人につき93日間まで休める制度です(給料は雇用保険から67%が支給)。平均介護期間は4~5年程度と言われていることからすると、介護休業だけでは到底まかなうことはできません。介護休業期間を独自に延長することを検討している会社も出てきていますが、この制度の趣旨は介護を始めるための準備期間(デイサービス、ホームヘルパー、介護施設などを探す)と考えることが現実的です。

 実際に介護保険のサービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要がありますが、この認定には調査員による被介護者の心身の状況調査や、認定審査会による審査の過程があり、1か月ほどかかることもあります。更に介護認定のレベルにより受けられるサービスも異なってくるため、介護準備も希望通りに運ばないことも考えられます。こうした各種機関との調整を行うために休業を上手に使い、数年にわたる介護期間をいかにして仕事と両立させるかを考える必要があります。

 調査結果からは、6割の人の会社で『仕事と介護の両立』に関する制度は無く、制度を利用したい意向は高くても、利用は1割未満にとどまっていることがわかりました。また、「介護を担っていることを周囲に伝えていますか」との問いに、介護を担っている人であっても、3割の人が「誰にも伝えていない」と回答しており、さらに制度を「知らない」人でみると4割に上ります。介護を担った場合、職場では「勤務時間の短縮」「残業の免除」「介護休暇」などの制度を利用することになると思いますが、これらの制度は周りの協力なくしては成り立ちません。介護は他人事ではなく、皆が支えあって対応していくことが必要です。

 『仕事と介護の両立』のための制度はまだまだ充実していませんが、介護保険制度について理解している人は介護と仕事を続けていく意欲が高い結果となりました。「介護離職」に陥らないためには、一人で抱え込まないように介護保険制度を理解・活用することと合わせて、周囲に伝えることと、「お互い様」の気持ちで協力し合うことが必要だと考えられます。

調査結果の詳細

「公的介護保険制度」を理解していない人が3割

 35~59歳の被雇用者(会社員・公務員、正規・非正規含む、n=2,088)に、「公的介護保険制度」の理解度を聞いたところ「現在利用中で、制度の概要は理解している」(23.5%)、「実際の利用はしていないが、制度の概要は理解している」(18.7%)と、合わせて4割の人が制度を理解していました(図表1-1)。

 一方、「公的介護保険制度については、名前は聞いたことがあるが、ほとんど知らない」(19.2%)、「名前も聞いたことがない」(12.5%)を合わせると、制度を「知らない」人も3割に上りました。

 男女別にみると、「公的介護保険制度」を「理解している」人では、女性が男性を9.5ポイント上回っており、女性の方が認知が高い結果となりました(図表1-1)。

 また、職業別にみると、「公的介護保険制度」を「理解している」割合は職業柄、医療専門職が高い結果となりましたが、その他の職業では大きなちがいはみられませんでした(図表1-2)。

 介護保険制度は2000年4月1日にスタートし、すでに17年が経過していますが、本来、介護の負担を減らす制度であるにも関わらず必要な人たちが利用していない可能性があります。本当に必要な人たちの負担を減らすためにも、一層の普及促進が望まれます。

問  あなたは「公的介護保険制度」について、どの程度ご存じですか。(回答は1 つ)

「介護制度」を理解していない人は、『仕事と介護の両立』は厳しいと考えている

 現在、既に家族の介護を担っている人(n=1,044)に、このまま『仕事と介護の両立』ができるのかを「公的介護保険制度」の理解度別に聞きました(図表2-1)。

 「介護保険制度や民間サービス等をうまく使うことができれば、このまま続けていけると思う」では、「公的介護保険制度」を「知らない」人は『仕事と介護の両立』を続けていけるが3割にとどまりましたが、「理解している」人の半数は『仕事と介護の両立』を続けていけると回答しており、「公的介護保険制度」は実際の介護を支えている結果となりました。

 また、職業別にみたところ大きな特徴はみられず、これは雇用先によって職場環境が異なるためと考えられます(図表2-2)。