全国ふるさと納税3万人の実態調査~ふるさと納税経験者は10人に1人、未経験者の約4割は「やってみたい」~

株式会社インテージリサーチは、自主企画調査『ふるさと納税に関するアンケート』を実施しました。本調査は、2016年3月23日~25日、全国の20歳から69歳の男女3万人を対象にインターネットで行い、ふるさと納税の認知や経験について聞いた結果をまとめました。

PICK UP

  • ふるさと納税の認知率は97.5%。そのうち、制度の詳細を知っている人は11.9%(図1)
  • これまでにふるさと納税を行ったことがある人は10.1%で、10人に1人が経験(図2)
  • ふるさと納税を行った動機として最も多かったのは、「寄付の特典が魅力的だったから」の71.8%(図5)
  • 未経験者の「これまでにしようと思いながらもしていない理由」は、「申込の仕方がよくわからなかったから」が42.7%と最も多く、次いで「確定申告が面倒だったから」(32.2%)、「制度がよくわからなかったから」(29.2%)、「どこの自治体にしてよいかわからなかったから」(27.0%)(図9)
  • 未経験者の37.6%に今後ふるさと納税実施の意向あり(図11)
  • ふるさと納税を行う際に期待する返礼品で最も多かったのは、「地元の特産品(生鮮食品)」の81.7%(図12)

調査概要

調査方法インターネット調査
調査地域全国
調査対象者インテージ・ネットモニター 全国20歳以上69歳までの男女個人
サンプル構成平成22年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア)母集団準拠 設計数30,000サンプル 回収数31,229サンプル 依頼数80,515サンプル
調査期間2016年3月23日(水)~3月25日(金)
調査内容ふるさと納税の認知、認知内容、ふるさと納税の経験、動機、きっかけ、今後の意向、非意向の理由等
調査実施機関株式会社インテージリサーチ
分析者大坂 紫(ソーシャル事業推進部第2グループ研究員)

考察

本調査を通じて、ふるさと納税の認知率は97.5%に上り、広く知られている一方で、制度の詳細を知っている人は11.9%にとどまることがわかりました。また、ふるさと納税の実施率は10.1%で、2014年までと比べて倍増したとみられます。これは、2015年4月からの「ふるさと納税ワンストップ特例制度」導入により、確定申告の煩わしさが軽減された効果であると考えられます。
ふるさと納税を行った動機は、全体では「寄付の特典の魅力」が71.8%と圧倒的に多いものの、20歳代では「応援したい地域への貢献」や「自分のふるさとへの貢献」「縁のある地域への貢献」が他の年代に比べて高いことがわかりました。また、経験者の9割にリピート意向が、未経験者の約4割にトライアル意向が見られます。なお、期待する返礼品は「地元の特産品(生鮮食品)」が最も高いことがわかりました。
実施率を上げるには、特産品の魅力を打ち出すこともさることながら、申込の仕方、制度の説明を含めた各自治体のPRがカギになると考えられます。
ふるさと納税経験者の寄付回数や金額、選んだ自治体などの詳細は、実態調査の第2弾として近日中に公開します。

調査結果

図1 ふるさと納税の認知

1.「ふるさと納税」の認知について尋ねたところ、「制度の詳細を知っている」は11.9%、「制度の概要を知っている」は21.0%で、3割の人が制度についておおよそ知っており、「制度を多少知っている」「言葉を聞いたことはある」まで合わせると、97.5%の人が「ふるさと納税」について認知していることがわかりました。
「制度の詳細を知っている」は、男性、30~40歳代で高くなっています(図1)。

fig1607-1.jpg

図2 ふるさと納税の実施状況

2.「ふるさと納税」をしたことがある人は10.1%で、10人に1人が「ふるさと納税」をしたことがあることになります。
女性より男性の方が「ふるさと納税」の実施率は高く、他の年代より30歳代、40歳代の実施率が高くなっています(図2)。

fig1607-2.jpg

「ふるさと納税」の実施状況を居住地域別でみると、京浜、京阪神は高く、北海道、東北、九州、四国、北陸、関東の順で低くなっています(図3)。なお、図表は非掲載ですが都道府県別でみると、「ふるさと納税」実施率が高いのは、東京都、愛知県、千葉県、埼玉県で、一方、「ふるさと納税」実施率が低いのは、福岡県、宮城県、長野県、新潟県、北海道、鹿児島県、秋田県、青森県、徳島県、熊本県となっています。

「ふるさと納税」をした人について、実施時期をみると、「2015年にはじめてした」人は47.1%を占めています。また、「毎年欠かさず」に実施している人も約2割となっています。
女性と50歳代では、「2015年にはじめてした」人が男性または他の年代より高くなっています(図4)。

図3 (居住地域別)ふるさと納税の実施状況

fig1607-3.jpg

図4 ふるさと納税の実施時期【ベース:ふるさと納税実施者】

fig1607-4.jpg

3.「ふるさと納税」を行った動機を尋ねたところ、「寄付の特典が魅力的だったから」の割合が71.8%と最も高く、次いで「税金が軽減されるから」が47.8%、「応援したい地域に貢献したいから」が20.4%となっています(図5)。
女性と比べて男性では、「寄付の特典」「税金の軽減」が低い一方、「ふるさとへの貢献」「縁のある地域への貢献」が高くなっています。年代別では、「寄付の特典」が40~50歳代では高く、20歳代では低くなっています。20~30歳代では「ふるさとへの貢献」「縁のある地域への貢献」が高くなっています(表1)。
また、「ふるさと納税」を「2015年にはじめてした人」と2015年以前にした人の動機を比べると、「寄付の特典」「税金の軽減」は「2015年にはじめてした人」のほうが高く、それ以外の動機についてはいずれも2015年以前にした人のほうが高くなっています(図6)。

図5 ふるさと納税の動機(複数回答)【ベース:ふるさと納税実施者】

fig1607-5.jpg

表1 ふるさと納税の動機(複数回答)【ベース:ふるさと納税実施者】

table1607-1.jpg

※TOTAL行と比率の差の検定を行いました。有意水準による識別は以下の通りです。

come1607-1.jpg

図6 実施時期別 ふるさと納税の動機(複数回答)【ベース:ふるさと納税実施者】

fig1607-6.jpg

4.「ふるさと納税」を行ったきっかけを尋ねたところ、「パンフレットやホームページで募集を知ったから」が31.1%、「制度について詳しく知る機会があったから」29.7%、「家族や友人・知人から勧められたから」24.9%の順となっています(図7)。
女性や20歳代では「家族や友人・知人に勧められたから」が最も高くなっています(表2)。
「ふるさと納税」を「2015年にはじめてした人」は2015年以前にした人と比べて、「家族や友人・知人に勧められたから」、「ふるさと納税ワンストップ特例制度があったから」が高くなっています(図8)。

図7 ふるさと納税のきっかけ(複数回答)【ベース:ふるさと納税実施者】

fig1607-7.jpg

表2 ふるさと納税のきっかけ(複数回答)【ベース:ふるさと納税実施者】

table1607-2.jpg

※TOTAL行と比率の差の検定を行いました。有意水準による識別は以下の通りです。

come1607-1(1).jpg

図8 実施時期別 ふるさと納税のきっかけ(複数回答)【ベース:ふるさと納税実施者】

fig1607-8.jpg

5.「ふるさと納税」未経験者で、これまでにしようと思いながらもしていない理由を尋ねたところ、「申込の仕方がよくわからなかったから」42.7%、「確定申告が面倒だったから」32.2%、「制度がよくわからなかったから」29.2%、「どこの自治体にしてよいかわからなかったから」27.0%となっています(図9)。

図9 ふるさと納税をこれまでしなかった理由(複数回答)【ベース:「ふるさと納税」をしようと思いながらもしなかった人】

fig1607-9.jpg

6.今後、「ふるさと納税」をしたい人は「したい」「できればしたい」を合わせて42.9%となっています。 「ふるさと納税」の意向は女性、30~40歳代で高くなっています(図10)。
「ふるさと納税」をした人の89.3%、「ふるさと納税」をしていない人の37.6%が今後「ふるさと納税」をしたいと考えていることがわかりました(図11)。

図10 ふるさと納税の今後の実施意向

fig1607-10.jpg

図11 実施状況別 ふるさと納税の今後の実施意向

fig1607-11.jpg

7.「ふるさと納税」を行う際に期待する返礼品は、「地元の特産品(生鮮食品)」が81.7%と最も高く、次いで「地元の特産品(加工食品)」68.8%、「施設利用券、宿泊券、割引券、地元で使える商品券など」40.0%となっています(図12)。  「ふるさと納税」の実施経験別でみると、「2015年にはじめてした」人では「地元の特産品(生鮮食品)」の割合が特に高くなっています。また、「ふるさと納税」をしたいが「一度もしたことのない(今後してみたい)」人では「施設利用券、宿泊券、割引券、地元で使える商品券など」、「地元の特産品(雑貨、工芸品等)」が高くなっています(図13)。

図12 ふるさと納税を行う際に期待する返礼品(複数回答)【ベース:ふるさと納税意向者】

fig1607-12.jpg

図13 実施経験別 ふるさと納税を行う際に期待する返礼品(複数回答)【ベース:ふるさと納税意向者】

fig1607-13.jpg

転載・引用について

本レポートの著作権は、株式会社インテージリサーチが保有します。調査レポートの内容の一部を転載・引用される場合には、事前に弊社までご連絡ください。
お問い合わせの際には、以下の2点をお知らせください。

  • 転載・引用したい調査レポートとその範囲
  • 用途・目的

なお、内容によっては、転載・引用をお断りする場合がございます。

転載・引用に関する注意事項

転載・引用の際には、出所として弊社名(株式会社インテージリサーチ)及び調査名称の明記をお願いいたします。
以下の行為は禁止いたします。

  • データの一部または全部を改変すること
  • 本レポートを販売・出版すること
  • 出所を明記せずに転載・引用を行うこと

モニター募集

モニター募集は、現在新型コロナウイルスの影響により募集を一時中断しております。